名詞句を構成する要素の種類、組み合わせとその順序についてまとめます。
名詞句の構成要素
名詞句は、次のいずれかの要素を必須とします。
- 名詞
- 人称代名詞の弱形を除く代名詞
- その他、名詞として機能する語句
- 形容詞(句)
- 数詞(基数詞・序数詞)
- 間投詞などのフレーズ
これらは、単独で句を形成することができます。
Τρώω κρέας.
私は肉を食べる(名詞)
Εγώ θα πάω.
私は行くつもりだ(代名詞)
Τι θέλεις;
あなたは何がほしいのですか(代名詞)
Kάποιος σε ζητάει.
誰かがあなたを探している(代名詞)
Φοράει μαύρα.
彼は黒(い服)を着ている(形容詞)
Ήρθαν δέκα.
10(人)来た(基数詞)
Χίλια ευχαριστώ!
本当にありがとう(間投詞)
また、名詞句には、次の要素を一つ以上含めることができます。
- 形容詞(句)
- 数詞(基数詞・序数詞)
- 冠詞
- 上記以外の限定詞
- 人称代名詞の弱形
- 副詞類(副詞、副詞句、前置詞句…)
- 接続詞
これらを節が補足したり、あるいは名詞節が名詞句として機能したりもしますが、句の構成要素としては以上です。
名詞 + ひとつの要素
名詞は、次の要素によって修飾されることがあります。
- 冠詞
- το άλογο|the horse
- 形容詞
- μεγάλα δέντρα|big trees
- 基数詞・序数詞
- πέντε σπίτια|five houses
- 数量詞
- μερικοί πελάτες|some customers
- 疑問限定詞
- ποιος ηλίθιος|which idiot
- 不定限定詞
- κάποια ηθοποιός|some actress
- 配分限定詞
- κάθε σπίτι|each house
- 属格の人称代名詞(弱形)
- στρατιώτες μας|soldiers of ours
- 属格の名詞句
- το σπίτι του Γιάννη|John’s house
「名詞 + 上のいずれかひとつ」のとき、冠詞は必ず名詞の前に、属格の人称代名詞(弱形)と属格の名詞句は必ず名詞の後に置かれます。その他の要素は前後どちらも可能ですが、上の例文の語順が一般的なものです。
名詞 + ふたつ以上の要素
次のものは、名詞の前に定冠詞がある場合に限り、名詞を修飾することができます。
- 数量詞όλος
- όλες οι καρέκλες|すべての椅子
- οι καρέκλες όλες|すべての椅子
- 指示限定詞
- αυτές οι καρέκλες|これらの椅子
- οι καρέκλες αυτές|これらの椅子
これらは冠詞の前に置くのが一般的ですが、名詞の後ろでも可能です。ただし、冠詞と名詞の間に置くことはできません。
- οι όλες καρέκλες
形容詞が、指示詞を伴う名詞を修飾するとき、最も一般的な順序は「指示詞・冠詞・形容詞・名詞」です。
指示詞 - 冠詞 - 形容詞 - 名詞
εκείνες οι ωραίες καρέκλες
あれらのかわいい椅子
those lovely chairs
他の語順をとることも可能ですが「冠詞・形容詞・名詞・指示詞」という順序はふつう用いられません。
- οι ωραίες εκείνες καρέκλες
- οι καρέκλες εκείνες οι ωραίες
- οι καρέκλες οι ωραίες εκείνες
- οι ωραίες καρέκλες εκείνες
όλοςと指示詞の両方が名詞を修飾するとき、ふつうはόλοςが指示詞に先行します。ただし全ての語順が可能です。
- 全てのこれらの椅子
all these chairs- όλες αυτές οι καρέκλες
- όλες οι καρέκλες αυτές
- οι καρέκλες αυτές όλες
これらの要素をより多く用いる場合(こんな文はあまりないけれど)、最も一般的な順序は次の通りです。
数量 - 指示 - 冠詞 - 数詞 - 形容詞 - 名詞 - 属格
όλοι εκείνοι οι πέντε μεγάλοι ζωγράφοι μας
私たちの全てのあれらの5人のすてきな画家たち
all those five great painters of ours
疑問詞や不定詞、配分詞は句の先頭に置かれ、互いにひとつの句で共存しません。
またこれらは、冠詞、数量詞のόλος, ολόκληρος、および指示詞とも共存しません。
Ποιοι πέντε μεγάλοι ζωγράφοι μας;
Which five great painters of ours?
κάποιοι μεγάλοι ζωγράφοι μας
some/certain great painters of ours
また、自由関係詞は、数詞や数量詞と共存しません。
μερικοί μεγάλοι ζωγράφοι μας
some/several great painters of ours
限定詞の種類は多く、用例や語順も複雑です。
句の先頭に置かれる傾向がある要素、これよりこれが前に来る傾向、共存できない要素、冠詞の間に置いて良いものと悪いものと…といったように。
以下は、ルールを守った上での極端な一例です。
όλες εκείνες οι πολλές άλλες τέτοιες δικές μου πράσινες χάντρες
すべてのあれらの数多くあるそのような私の緑色のビーズ
all those numerous other such green beads of mine
/all those many other such my own green beads
形容詞の語順
形容詞の語順については「形容詞の用法」のページにも記載していますが、ここにもいくつかの例を挙げます。
まず、ふたつの形容詞が同じ名詞の前を限定的に(名詞に近接して)修飾するとき、両方が名詞の前に置かれるパターン。
一般的に、成分や原材料などの「生来の性質」を表す形容詞が、名詞の最も近くに置かれます(ただしこのルールは英語の場合よりもゆるく、逆も違和感なく受け入れられます)。
感覚的 - 性質
ωραία ξύλινα τραπέζια
かわいい木製のテーブル
lovely wooden tables
名詞の前と後にひとつずつ形容詞が配置されるとき、後の形容詞の表す内容がより強調されます。
ξύλινα τραπέζια ωραία
木製の、そしてかわいいテーブル
wooden tables – lovely
ωραία τραπέζια ξύλινα
かわいい、そして木製のテーブル
lovely tables – wooden
両方の形容詞を名詞の後に配置することも可能です。この場合も、やはり後ろが強調されます。
- τραπέζια ξύλινα ωραία
- τραπέζια ωραία ξύλινα
「定冠詞(+ 形容詞)+ 名詞」の後ろに形容詞を置く場合、名詞の後の形容詞の前に、定冠詞を繰り返し配置しなくてはなりません。
- τα ξύλινα τραπέζια τα ωραία
- τα ωραία τραπέζια τα ξύλινα
- τα τραπέζια τα ξύλινα τα ωραία
- τα τραπέζια τα ωραία τα ξύλινα