時制と相

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ギリシャ語の動詞は「時制」と「相」の組み合わせの結果により語形(や周辺の語)が変化し、さまざまな意味を示します。

目次

概説

時制とは(主に「直説法」の文において)、動詞の表す動作や状態を「ある時点」に位置づける文法カテゴリーで、その時間的位置は発話の時点との関係で定義されます。

時制(じせい)、時称(じしょう)、あるいはテンス(英語: tense)とは、発話の中で規定される言語学的な時間を示す文法範疇である。

時制 - Wikipedia

時間はしばしば過去・現在・未来に三分されるが、この三者に対応する時制があるとは限らない。英語やドイツ語を含むゲルマン語派の時制は非過去と過去であり、非過去が現在と未来の両方を示す。

時制 - Wikipedia

一方、は、動詞の表す動作や状態を、話者がどのように捉え、聞き手にどのように提示するか、の違いを示す文法カテゴリーです。

相(そう)は、言語学・文法学の用語で、述語が表す事象の完成度や時間軸における分布の様子などの差異化をもたらす文法形式である。語交替や語形変化を伴う。

相 (言語学) - Wikipedia

時制ととは密接な関係をもち、動詞は常に「時制と相の組み合わせ」の結果を示します(例:過去時制×完了相で「過去完了形」)。

  • 動詞の語形そのもので示される「時制×相」
    • 現在形:γράφω
    • 非完結過去形:έγραψα
    • 完結過去形:έγραφα
  • 小辞θαを用いて形成される「時制×相」
    • 非完結未来形:θα γράφω
    • 完結未来形:θα γράψω …など
  • 動詞έχωを助動詞的に用いて形成される「時制×相」
    • 現在完了形:έχω γράψει
    • 過去完了形:είχα γράψει …など

現在形

現在形:非完結相×現在時制

現在形はその名のとおり「現在にある出来事を、連続的あるいは習慣的に描写する」というのが基本的な機能です。

Αυτόν τον καιρό γράφω πολλά γράμματα.
このごろ私は多くの手紙を書いている
Nowadays I write many letters.

Μην μου μιλάς γιατί τώρα γράφω.
書いているところなので、話しかけないで。
Do not talk to me because I am writing now.

次のような文において、従属節側の現在形は、複合文全体が発話された時点、すなわち「今日」を含むと解釈されます。

Ο Γιάννης μάς έλεγε χθες ότι γράφει πολλά γράμματα.
ヤニスは昨日、手紙をたくさん書いている話していました
John was telling us yesterday that he writes many letters.

歴史的現在

現在形はときに、過去の出来事をあらわすこともあります。

例えば次のような表現は「歴史的現在」と呼ばれ、描写に鮮明さを与えるため、主に物語などで用いられます。

Εκεί που τρώγαμε σηκώνεται ο Νίκος ξαφνικά, ανοίγει την πόρτα και φεύγει.
食事をしていると、ニコスが突然立ち上がり、ドアを開けて出て行ってしまう(→出て行ってしまった)。
As we were eating, suddenly Nick gets up, opens the door and leaves.

実況中継など

類似の表現はスポーツの実況中継などにも見られます。

Ο Λυμπερόπουλος τρέχει, βρίσκει τη μπάλα και σουτάρει.
リベロプーロスが走り、ボールを見つけてシュートする(→した)。
Lymberopoulos runs, finds the ball and shoots.

現在完了進行形のようなもの

英語では「現在完了進行形」で表すような内容、つまり、動詞が「過去のある時点から現在に至るまで続いている状態」や「習慣的な出来事」を表すとき、ギリシャ語では現在形を用いることがあります。

Μένω σ’ αυτό το σπίτι τρία χρόνια τώρα.
この家に住み始めて三年になります。
I have been living in this house for three years now.

Διαβάζω αυτή την εφημερίδα από το 1984.
1984年からこの新聞を読んでいます。
I have been reading this newspaper since 1984.

近い将来

近い将来に起こるであろう出来事を指す場合に用いられることもあります。

Εγώ αύριο εξαφανίζομαι.
明日、私は姿を消す(でしょう)。
Tomorrow I disappear.

非完結過去形

非完結過去形:非完結相×過去時制

非完結過去形は、過去に繰り返し・習慣的に行われていた、あるいは過去のある時期に継続的に行われていた動作や状態を表します。

Όταν ήμουν στην Αθήνα έβλεπα συχνά την Ελένη.
アテネにいた頃、私はヘレンとよく会っていました。
When I was in Athens I used to see Helen frequently.

Έβλεπε το παιδί που έκλαιγε αλλά δεν του μιλούσε.
泣いている子どもを見かけたけれど、彼は声をかけなかった。
He was watching the child crying but was not speaking to him.

完結過去形

完結過去形:完結相×過去時制

過去のある時点で行われ、完結(完了)した動作や状態を表します。

Είδα το Γιώργο και του μίλησα για σένα.
私はヨルゴスに会い、あなたについて彼と話しました。
I saw George and I spoke to him about you.

Έγραψα πέντε γράμματα χθες.
私は昨日5通の手紙を書きました。
I wrote five letters yesterday.

状態の変化を表す動詞

κουράζομαι(疲れる)、καταλαβαίνω(理解する)、θυμώνω(怒る)のような「状態の変化」を表す動詞(起動動詞)は完結過去形がよく用いられ、過去のある時点から現在まで続く状態を表します。

Θύμωσα, γι̕αυτό δεν πρόκειται να πάω στο πάρτι.
腹を立てたため、パーティーには行きません。
I got angry (and I am still angry) and for this reason I am not going to go to
the party.

Βαρέθηκε και θέλει να φύγει.
彼女(彼)は退屈で帰りたがっています。
She is bored and wants to leave.

Τώρα κατάλαβα τι εννοείς.
今ならおっしゃることがよくわかります。
Now I understand what you say.

ひとつめの例文では、過去のある時点から始まった怒りが発話の時点まで続いており、この怒りが話し手にパーティーに行かないことを決意させている、と解釈できます。

次の例文も同様で、過去のある時点で「どこかへ行きたい」と思うほど退屈し、今も退屈していることを意味します。

これらは、英語の場合は現在形で表すことが多いでしょう。

過去の動作や状態の変化

起動動詞でなくても、つまり動作や状態を表す一般的な動詞であっても、完結相過去形を用いることで同様のニュアンスを出すことがあります。

Άνοιξες την πόρτα και κρύωσα.
あなたがドアを開けたから、寒いです。
You opened the door and I am cold.

Φόρεσες βλέπω κι εσύ το μίνι.
ミニスカートも履いたのですね。
I see that you have put on a mini-skirt too.

Βλέπεις αγοράσαμε κι εμείς αυτοκίνητο.
私たちも車を買ったのですよ。
You see we too (have) bought a car.

当然、完結相過去形は「出来事が過去に成立した(起こった)」ことを主に述べます。ただ、動詞の意味や全体の文脈から、その出来事がもたらす結果が現在にどう関連するか、が示唆され、上の例文のような表現が可能となるわけです。

ですので、現在完了形とは(内容としては同じであっても)ニュアンスが大きく異なります。現在完了形を用いた文で注目されるのは「結果が現在にどう関連するか」の側であるためです。

緊急の・確実な未来

ギリシャ語における完結過去形のユニークな機能として、緊急で差し迫った、あるいは非常に確実な未来の行動を指す、というものがあります。

例えば、レストランでお客さんがあわててウェイターを呼んだときなどに«έφτασα»(着いた, I arrived)と返答されることがしばしばあります。「(もう行ったかのように)すぐに着きます」という意味で過去形が用いられるのです。

Αν σε πιάσει ο Αλέκος χάθηκες.
アレコスに捕まったら負けです。
If Alekos catches you, you are lost.

上の文では、負ける未来がほぼ確実で、あたかもそれが既に起こったかのように見えることを表しています。

未来と条件(θα + 動詞)

未来のことは「小辞θα + 動詞の現在時制の語形」で表します。

一方「θα + 動詞の過去時制の語形」は仮定や推論などを表します。これは時制というよりモダリティの範囲なのですが、形態的には時制と相にかかわるところなので、ここにも概要をのせておくこととします。

非完結未来形(θα + 現在形)

非完結未来形:非完結相×未来時制(θα + 現在形)

将来繰り返されると考えられる出来事や動作、状態を表します。

Είπε ότι θα μας μαζεύει στο σπίτι της πότε πότε για κανένα ουζάκι.
彼女は、たまには自分の家に私たちを集めてウーゾを飲ませると言っていました。
She said that she will bring us together at her house now and then for an ouzo.

Αύριο τέτοια ώρα θα μαζεύουμε τις ελιές.
明日の今頃はオリーブを収穫していることでしょう。
This time tomorrow we will be gathering the olives.

確実性

非完結相未来形は「確実性」を表現するためにも用いられます。

Θα τον φροντίζει, φαντάζομαι, ο ανιψιός του.
彼の甥が彼の面倒を見ることになるのだろうと思っている。
His nephew will be taking care of him, I imagine.

日本語訳がうまくないのですが、上の例文においてθαは「将来」面倒を見ること、を指しているのではなく「ほぼ確実に面倒を見ることになるはずだ」のような意味合いを強く持ちます。

μάλλον(おそらく)のような度合いを表す単語を用いることで、確実性の程度を表します。

Θα τον φοβάται μάλλον, γι’ αυτό δεν του φέρνει αντίρρηση.
彼女はおそらく彼を恐れている、だから彼に立ち向かわないのだろう。
She must be afraid of him, which is why she does not confront him.

完結未来形(θα + 従属形)

完結未来形:完結相×未来時制(θα + 従属形)

将来のある時点で行われ、完結すると思われる動作や状態を表します。

Θα σου τηλεφωνήσω αύριο το πρωί.
明日の朝、あなたに電話します。
I will telephone you tomorrow morning.

習慣

完結相未来形は、習慣的な、時間を超えた事象を表す場合に用いることがあります。

Kάθε πρωί θα σηκωθεί, θα πιει το καφεδάκι του, θα διαβάσει την εφημερίδα
του και κατά τις 8.30 θα φύγει για το γραφείο του.
毎朝、彼は起床し、コーヒーを飲み、新聞を読み、そして8時半ごろ出社する。
Every morning he will get up, drink his coffee, read his newspaper and at approximately 8:30 he will leave for the office.

「習慣」は単に現在形で表現することもできますが、完結未来形を用いると、その行動や状態が今だけでなく将来も起こり続けるだろう、という意味合いを強調して示します。

確率や義務

完結相未来形は、確率や義務といった様相性を示すことがあります。

Έλα μην στενοχωριέσαι, θα σε πληρώσουν αύριο.
さあ、怒らないで、彼らは明日には必ず支払うはずだから。
Come on, do not be upset, they are sure to pay you tomorrow.

Όχι, θα μου το επιστρέψεις αυτό το γράμμα αμέσως.
いや、この手紙はすぐに返してくれ。
No, you will give this letter back to me immediately.

丁寧な命令(指示)

Θα περπατήσετε περίπου 50 μέτρα, ύστερα θα στρίψετε δεξιά και θα βρείτε το σπίτι στα αριστερά σας.
50メートルほど歩き、右に曲がってください、すると左手に家が見えてきます。
You will walk about 50 metres, you will then turn right and you will find the house on your left.

丁寧な依頼

Θα μου δώσετε λίγο νερό παρακαλώ;
水をいただけますか。
Would you give me some water, please?

過去の行動や業績

あまり一般的な用法ではありませんが、ある人の過去の行動や業績について説明する場合に、完結相未来形を用いることがあります。

Ο Κ γεννήθηκε και μεγάλωσε στο Ηράκλειο.
Εκεί θα τελειώσει και το δημοτικό και το γυμνάσιο αλλά μετά το στρατιωτικό του θα μεταφερθεί οριστικά στην Αθήνα.
Kはイラクリオンに生まれ育つ。
そこで初等、中等教育を終えるが、兵役の後、アテネに永住することになる。
K was born and grew up in Iraklion.
It was there that he was to finish his primary and secondary education, but after his military service he would move permanently to Athens.

過去の出来事の記述に未来形を用いると、これらの出来事はその人自身、あるいはより高い力によって意図されたものである、といった含意が加わります。

仮定・反事実(θα + 非完結過去形)

θαと非完結過去形をあわせると「仮定」や「反事実」を表します。

Θα πήγαινα κι εγώ στο Παρίσι αλλά δεν είχα λεφτά.
私もパリに行きたかったのが、お金がなかった。
I would have gone to Paris too but I did not have the money.

次のように、事実に反することを述べる文(英語の仮定法のような)の帰結節でも用いられます。ただし文脈によって、現在、過去、未来のいずれにも読み替えることができます。

Αν τον άκουγες πόσο ωραία μιλούσε δεν θα το πίστευες.
もしあなたが彼の美しい話し方を聞いたら、信じられない気持ちになるだろう。
If you heard how beautifully he spoke you would not believe it.

Αν διάβαζες το γράμμα του θα με καταλάβαινες.
もしあなたが彼の手紙を読んでいたら、あなたは私のことを(今日や明日に)理解したことでしょう。
もしあなたが彼の手紙を読んでいたなら、あなたは私を理解したでしょう(昨日などに)。
If you (had) read his letter you would understand me,
If you had read his letter you would have understood me.

間接話法において、過去形の主動詞の後は対応する直接話法と同じ時制を用いるのが通常ですが、仮定・反事実の解釈を伴わない条件法が用いられることもあります。

この場合、直接話法で発話された時点を基準として判断しなければならない未来を表現することが多いです。

Θα 'ρθει (έρθω) να σας δω.
私はあなたに会いに行くつもりだ。
I will come to see you.

Μου έλεγε/είπε ότι θα 'ρθει(έρθει) να μας δει.
彼は私たちに会いに来ると言っていた。
He said that he would come to see us.

Μου έλεγε/είπε ότι θα 'ρχότανε(ερχότανε) να μας δει.
彼は私たちに会いに来ると言っていた。
He said that he would come to see us.

推論・可能性・蓋然性(θα + 完結過去形)

θα + 完結過去形も上と同様に様相性を示し、何かが起こったという推論や可能性、蓋然性を表現します。

Θα πήγε να δει το Νίκο.
彼はニコスに会いに行ったに違いない。
He must have gone to see Nick (It is likely that he went…).

現在完了形

現在完了形:完了相×現在時制

動詞έχω(英語のhaveに相当)を助動詞的に用いて「έχω + 動詞の不定詞」の形で表します。

現在完了形は、すでに「完了した」動作や状態の結果が、発話の時点にも関連、影響していることを表現します。ほとんどの場合(ことがらを述べるという点においては)完結過去形に置き換えることが可能です。

Έχω κουραστεί πολύ σήμερα.
今日はとても疲れた(疲れている)。
I have got very tired today.

Kουράστηκα πολύ σήμερα.
今日はとても疲れた。
I got very tired today.

期間を表す語や「既に」のような副詞があるとき、つまり英語なら現在完了形を用いるような文であっても、完結過去形にそのまま置き換えて問題ありません。

Έχω φάει κιόλας δυο παγωτά.
アイスクリームを既に2つも食べてしまった。
I have already eaten two ice creams.

Έφαγα κιόλας δυο παγωτά.
アイスクリームを既に2つも食べてしまった。
I already ate two ice creams.

ただし、現在完了形は現在との関連性に重点が置かれ、完結過去形は過去にその動作が完了したことに重点が置かれる、といったニュアンスの違いがありますので、内容によってはどちらかが適切でない場合も存在します。

Έχω κουραστεί πολύ σήμερα αλλά έκανα ένα μπάνιο και τώρα νιώθω καλά.
今日はとても疲れたが、お風呂に入り、今は元気だ。
I have got very tired today but I had a bath and I now feel fine.

Kουράστηκα πολύ σήμερα αλλά έκανα ένα μπάνιο και τώρα νιώθω καλά.
今日はとても疲れたが、お風呂に入り、今は元気だ。
I got very tired today but I had a bath and I now feel fine.

上のひとつめの文では「疲れた」が現在完了形で表現されているため、今も疲れていることが読み取れます。そうすると「今は元気だ」と続くのはある種の矛盾を生じます。したがって、この場合は完結過去形で表現することのみが適切です。

Έχεις πάει στο Λονδίνο;
あなたはロンドンに行ったことはありますか。
Have you been to London?

Πήγες στο Λονδίνο;
あなたはロンドンに行きましたか。
Did you go to London?

上のひとつめの文には現在完了形が使われているので、現在との関連性を含めて解釈し、いわゆる「経験」を問う内容であると理解されます。

一方、ふたつめの文には必ずしもその意味合いは含まれないので、単に過去のある時点について問う内容と解釈するのが一般的です(ただしποτέ「これまでに」などを付ければ、過去形のまま「経験」を問う意味を強調できます)。

とは言え、過去のある時点に「ロンドンに行った」のであれば「ロンドンに行った経験がある」のですから、過去形と現在完了形は、ことがらを述べるという点においてある程度置き換えが可能というわけです。

過去完了形

過去完了形:完了相×過去時制

「έχωの過去形(had)+ 動詞の不定詞」の形で表します。

過去完了形は、ある行為や状態が過去に完了し、その結果が、同じく過去にある後続の別の時点に関連するものであることを、明示的または暗示的に記述します。

Είχα δει τον αδερφό σου πολλές φορές στο Λονδίνο.
私はロンドンで(ロンドンを去るまでに)あなたのお兄さんと何度も会った。
I had seen your brother many times in London (by the time I left London).

Την περασμένη Δευτέρα δεν είχα ακόμη στείλει το γράμμα.
先週の月曜日、私はまだ手紙を出していなかった。
Last Monday I had not yet sent the letter.

過去完了形がふつうの過去形に置き換えられることは、あまり多くありません。

例えば上のひとつめの文のように、動詞の示す動作などが一定期間に数回発生した、という内容であれば、過去形で表現可能です。

しかし、ふたつめのような、ήδη(すでに)やκιόλας (すでに)、δεν…ακόμη(まだ)などの副詞を含む文では、つまり過去のある時点に関連する完了した動作に言及する場合、過去完了形のみが適切です。

未来完了形

未来完了形:完了相×未来時制

「θα + έχω(have)+ 動詞の不定詞」の形で表します。

未来完了形は、将来のある時点で完了し、その時点に関連するであろう動作や状態を述べます。

Μέχρι την άλλη Δευτέρα θα έχω γράψει το πρώτο κεφάλαιο.
来週の月曜日までには、第一章を書き上げるつもりだ。
By next Monday I shall have written the first chapter.

To θέμα θα έχει κιόλας τακτοποιηθεί πριν έρθεις εσύ.
あなたが来る前に、この問題は解決されているはずだ。
The matter will have been taken care of before you come.

推論・可能性など

θαを用いた他の動詞構文と同様に、未来完了形もさまざまな様相性を示すために用いられることがあります。

Θα έχει θυμώσει μαζί σου, γι’ αυτό δε σου μιλάει.
彼はあなたに腹を立てたのだろう、だからあなたと口をきかないのだ。
He must have got angry with you and that is why he is not speaking to you.

Πιστεύω ότι θα έχει κουραστεί πολύ.
彼女はよほど疲れているに違いない、と思う。
I think that she must have got very tired.

過去の反事実(θα + 完了形)

過去の反事実を述べる文、つまり仮定法過去完了のような文の帰結節には「θα+完了形」を用います。

Αν με είχες ρωτήσει θα σου το είχα πει/θα σου το έλεγα.
もし聞かれたのなら、私は答えただろう。
If you had asked me I would have told you.

Αν είχαμε λεφτά θα είχαμε πάει/θα πηγαίναμε κι εμείς στο Παρίσι.
お金があれば、パリにも行きたかった。
If we had had money we would have gone to Paris too.

上で示したように、帰結節は「θα + 非完結過去形」を用いることもできます(先述)。ただし、帰結節に完了形を用いることで、より結果側に重点を置いた意味合いとなります。

推論・可能性など(θα + 完了形)

θαを用いた他の構文と同様に「θα + 完了形」もさまざまな様相性を表すことがあります。

Θα τον είχαν ειδοποιήσει, γι’ αυτό έφυγε αμέσως.
彼らは彼に警告したに違いない、それが彼がすぐに去った理由だ。
They must have warned him, that is why he left right away.

Θα είχε εξετάσει το ζήτημα μόνος του.
彼は彼自身でその問題を調べたに違いない。
He must have examined the issue himself.

θα節が何を表しているかの解釈は、文脈によって決まります。

ひとつめの文では、ニ節目で話者の出した結論の根拠が強く述べられているので、θα節は明らかに強い可能性を示します。

一方、ふたつめの文では前後の文脈から検討するほかありません。この文だけでは「調べたに違いない」という推論か、あるいは「調べなかったが(何か問題がおこって必要が生じたなら)調べていただろう」という反事実のどちらにもなりえます。

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