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動詞の語形変化表の見方

ギリシャ語の動詞は、文法カテゴリー(時制や相、態、法など…)に応じて複雑に語形変化します。さらに、変化は「語尾」だけでなく「語幹」や「語頭」にも生じます。

そこで、学習に必要な事前知識として、ギリシャ語の語形変化表の基本的な構成について概説してみようと思います。

大分類 - 態

一般的に、語形変化表のいちばん大きな見出しには「」がかいてあります。

ギリシャ語の動詞の「能動態」は-ωか-ώ、「受動態」は-μαιで終わる語形を基本とし、それぞれがまったく異なる語形変化のパターンを持ちます。

能動態受動態
χτίζω(建てる)χτίζομαι(建てられる)
語形変化いろいろ… 語形変化いろいろ…

かたほうの「態」を持たない動詞の場合はもちろん、表の中身も半分になります。

能動態のみ
ανήκω(属する)
語形変化いろいろ…
受動態のみ
έρχομαι(来る)
語形変化いろいろ…

中分類 - 相 × 時制

「態」でくくられた表の中は「」と 「時制」とのマトリックス図になっています。

以降の表では、動詞のどの部分が変化しているかをわかりやすくするため、語頭と語幹、語尾を区切って記します。

能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結έ-χτιζ-αχτίζ-ωθα χτίζ-ω
完結έ-χτισ-αχτίσ-ωθα χτίσ-ω
完了είχ-α χτίσειέχ-ω χτίσειθα έχ-ω χτίσει
不定形χτίσει

受動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結χτιζ-όμουνχτίζ-ομαιθα χτίζ-ομαι
完結χτίστ-ηκαχτιστ-ώθα χτίστ-ηκα
完了είχ-α χτιστείέχ-ω χτιστείθα έχ-ω χτιστεί
不定形χτιστεί

能動態 > 相 × 時制(現在・過去・未来の順)

教材によっては「時制」を現在・過去・未来の順に並べていることもあります。

相/時制現在過去未来
非完結χτίζ-ωέ-χτιζ-αθα χτίζ-ω
完結χτίσ-ωέ-χτισ-αθα χτίσ-ω
完了έχ-ω χτίσειείχ-α χτίσειθα έχ-ω χτίσει

能動態 > 時制 × 相

「相」と「時制」の縦横が逆になっている場合もあります。

時制/相非完結完結完了
過去έ-χτιζ-αέ-χτισ-αείχ-α χτίσει
現在χτίζ-ωχτίσ-ωέχ-ω χτίσει
未来θα χτίζ-ωθα χτίσ-ωθα έχ-ω χτίσει

当サイトでは、時の流れをそのまま横に並べるのが自然かなと思い、横に「時制」を過去・現在・未来の順で、縦に「相」を書いて表をつくっています。

過去・現在時制 × 非完結・完結相が重要

いずれの場合も、特に重要なのは過去時制現在時制 × 非完結相完結相の部分で、未来完了相の欄は簡略化(あるいは省略)されることも多いです。

このことについて、ちょっとだけ以下に補足を載せます。

未来はθα + 現在時制

未来は文法的には現在時制に含まれますから、動詞の語形は現在とまったく同じです。非完結完結完了相のいずれも、現在時制の前にθαを置くだけでつくれます。

なので、未来の欄が省略されていても、θαの綴りだけ覚えておけば大丈夫というわけです。

完了相のέχωと、不定形

ギリシャ語の完了相έχω + 不定形で表します。英語のhave + 過去分詞と似ていますね。έχωも「持っている」という意味の動詞です。

「不定形」は「不定詞」ということもあります。言葉がまぎらわしいですが、英文法の不定詞とはまったくの別物。

具体的には、動詞の「三人称単数・現在時制・完結相」の語形のことを「不定形」と呼びます。でも、これを表の中からがんばって探し出さなくて大丈夫です。ふつうは語形変化表のどこかに「不定形」という項目が別途設けられています。多くは表の下のほうか、右端あたりにあります。

そして、完了相では、時制や人称・数はέχωの語形で示されます。英語の完了表現でhaveのほうをhadhasにするのと同じイメージです。

したがって、完了相の欄がなくても「不定形」さえ載っていれば、あるいは不定形を「完結相」の欄から見つけ出せば問題ありません。必要なのはむしろέχωの語形変化表ですね。

小分類 - 人称・数

「相 × 時制」の語形はそれぞれ、主語の「人称」と「」によってさらに細かく変化します。

まずはさきほど載せた表の再掲です。

能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結έ-χτιζ-αχτίζ-ωθα χτίζ-ω
完結έ-χτισ-αχτίσ-ωθα χτίσ-ω
完了είχ-α χτίσειέχ-ω χτίσειθα έχ-ω χτίσει

たとえば、この表の左上「非完結相 × 過去時制」の部分は、主語の人称と数によって以下のように変化します。

能動態 > 非完結相 × 過去時制 > 人称・数

能動態
人称・数過去時制
非完結一単έχτιζα
二単έχτιζες
三単έχτιζε
一複χτίζαμε
二複χτίζατε
三複έχτιζαν

まとめ - 態 > 相 × 時制 > 人称・数

こんなかんじで、9種類の「相 × 時制」の語形はそれぞれ、6種類の「人称 × 数」に応じて語形を変えます。「態」が2種類なので、ここまでで計108種類の語形となりますね。きがとおくなりそうです。

能動態 > 相 × 時制 > 人称・数

能動態
人称・数過去時制現在時制未来
非完結一単έχτιζαχτίζωθα χτίζω
二単έχτιζεςχτίζειςθα χτίζεις
三単έχτιζεχτίζειθα χτίζει
一複χτίζαμεχτίζουμεθα χτίζουμε
二複χτίζατεχτίζετεθα χτίζετε
三複έχτιζανχτίζουνθα χτίζουν
完結一単έχτισαχτίσωθα χτίσω
二単έχτισεςχτίσειςθα χτίσεις
三単έχτισεχτίσειθα χτίσει
一複χτίσαμεχτίσουμεθα χτίσουμε
二複χτίσατεχτίσετεθα χτίσετε
三複έχτισανχτίσουνθα χτίσουν
完了一単είχα χτίσειέχω χτίσειθα έχω χτίσει
二単είχες χτίσειέχεις χτίσειθα έχεις χτίσει
三単είχε χτίσειέχει χτίσειθα έχει χτίσει
一複είχαμε χτίσειέχουμε χτίσειθα έχουμε χτίσει
二複είχατε χτίσειέχετε χτίσειθα έχετε χτίσει
三複είχαν χτίσειέχουν χτίσειθα έχουν χτίσει
不定形χτίσει
その他いろいろな情報…

受動態 > 相 × 時制 > 人称・数

受動態
人称・数過去時制現在時制未来
非完結一単χτιζόμουνχτίζομαιθα χτίζομαι
二単χτιζόσουνχτίζεσαιθα χτίζεσαι
三単χτιζότανχτίζεταιθα χτίζεται
一複χτιζόμαστανχτιζόμαστεθα χτιζόμαστε
二複χτιζόσαστανχτίζεστεθα χτίζεστε
三複χτίζοντανχτίζονταιθα χτίζονται
完結一単χτίστηκαχτιστώθα χτιστώ
二単χτίστηκεςχτιστείςθα χτιστείς
三単χτίστηκεχτιστείθα χτιστεί
一複χτιστήκαμεχτιστούμεθα χτιστούμε
二複χτιστήκατεχτιστείτεθα χτιστείτε
三複χτίστηκανχτιστούνθα χτιστούν
完了一単είχα χτιστείέχω χτιστείθα έχω χτιστεί
二単είχες χτιστείέχεις χτιστείθα έχεις χτιστεί
三単είχε χτιστείέχει χτιστείθα έχει χτιστεί
一複είχαμε χτιστείέχουμε χτιστείθα έχουμε χτιστεί
二複είχατε χτιστείέχετε χτιστείθα έχετε χτιστεί
三複είχαν χτιστείέχουν χτιστείθα έχουν χτιστεί
不定形χτιστεί
その他いろいろな情報…

型(タイプ)による分類

ここまでにまとめた「態 > 相 × 時制 > 人称」による変化の仕方は「第一種活用」と呼ばれる型(タイプ)です。

大別すると、ギリシャ語の動詞は、以下の三種類の型(タイプ)のいずれかに該当します。

  • 第一種活用動詞
  • 第二種Aタイプ活用動詞
  • 第二種Bタイプ活用動詞

型(タイプ)については別のページにて詳しくまとめることとしますが、基本の部分のみ抜き出した表を載せておきます。

第一種活用動詞 - 能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結έ-χτιζ-αχτίζ-ωθα χτίζ-ω
完結έ-χτισ-αχτίσ-ωθα χτίσ-ω
完了είχ-α χτίσειέχ-ω χτίσειθα έχ-ω χτίσει

第二種Aタイプ活用動詞 - 能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結αγαπ-ούσα,
αγάπ-αγα
αγαπά-ω,
αγαπ-ώ
θα αγαπ-άω,
θα αγαπ-ώ
完結αγάπ-ησααγαπ-ήσωθα αγαπ-ήσω
完了είχ-α αγαπ-ήσειέχ-ω αγαπ-ήσειθα έχ-ω αγαπ-ήσει

第二種Bタイプ活用動詞 - 能動態 > 相 × 時制

相/時制過去現在未来
非完結θεωρ-ούσαθεωρ-ώθα θεωρ-ώ
完結θεώρ-ησαθεωρ-ήσωθα θεωρ-ήσω
完了είχ-α θεωρ-ήσειέχ-ω θεωρ-ήσειθα έχ-ω θεωρ-ήσει

「三種類の型」といってもあくまで大別で、さらに細かな分類があります。なので、すべての動詞の活用を丸暗記するのはほんとうに難しいです…。

ですが、ここまでの仕組みというか語形変化表の構造をわかってさえいれば、学習のストレスがぐっと減ると思います。

法(おまけ)

多くの語形変化表では、ここまでの内容を「直説法」という名称でくくり、その他に「接続法」や「命令法」という欄を設けています。

ギリシャ語の場合、「法」という文法カテゴリーは語形だけで表すものではありませんので、語形変化表を「法」でくくるのはちょっと混乱を招くのでは?と思っているのですが…。

とは言え「命令法」については、ここまでとは異なる語形が変化表(だいたい下のほう、あるいは右端)に載っていますので、そこだけ最後にまとめておくこととします。

命令法

命令法は英語の「命令形」のようなもの、ととらえて問題ありません。

英語と同じで二人称のみ、時制はなし。ただし単数と複数の区別、および相の区別はあります(完了相はなし)。

能動態 - 命令法(形)

能動態
人称・数語形
非完結相二単χτίζε
二複χτίζετε
完結相二単χτίσε
二複χτίστε

受動態 - 命令法(形)

受動態
人称・数語形
非完結相二単-
二複χτίζεστε
完結相二単χτίσου
二複χτιστείτε

直説法と接続法

これ以上のややこしい文法解説は別のページにまとめることとしますが…

ギリシャ語の「接続法」は、ざっくりいうと英語の「仮定法」を含むif節、あとは助動詞や不定詞を用いる表現全般を指します。それ以外の、いわゆる普通の断定(や否定)表現が「直説法」です。

モダリティ (modality) または法性(ほうせい)、様相性(ようそうせい)[1]とは、話している内容に対する話し手の判断や感じ方を表す言語表現のことである。

Wikipedia - モダリティ

語形変化表の見方的にポイントとなるのは

  • 「接続法」では「現在時制 × 完結相」の語形も用いる

というところかと思います。