肯定の命令文

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ギリシャ語の動詞には「命令」を表す固有の語形があり、これを用いた表現は命令法と呼ばれます。

命令法で表されるのは「肯定の命令」です。動詞の命令形には4種類の語形があり、二人称単数と複数、非完結相と完結相の組み合わせとなります。

否定の命令については「否定文」のページにまとめています。

目次

基本構造

Μίλα πιο αργά γιατί δεν σε καταλαβαίνω
もっとゆっくり話して、理解できないから (二人称単数、非完結相)
Speak more slowly because I cannot understand you

Μίλα βρε παιδί μου, βουβάθηκες;
さあ話して、私の子。声が出なくなったの?(二人称単数、非完結相)
Come on, speak, my child. Have you lost your voice?

Μίλησε με τον Γιάννη γι’ αυτό(二人称単数、完結相)
これについてヨハンに話して
Speak to John about this

非完結相の命令形は、基本的に継続的な行動や繰り返しの行動を求める場合に使用されます。しかし、ふたつめの例のように、即時の行動を促す場合にも使われ、ここでは「話し始めて」という意味になります。

一方、完結相の命令形は、一度限りの行動や、具体的な行動の完了を求める場合に使用されます。この場合、相手が特定の対象について話し終えることを期待しています。

受動態の命令文

受動態で非完結相が用いられることは稀で、基本的には完結相の命令形のみとなります。

Ντύσου πιο καλά γιατί κάνει κρύο
もっと暖かい服を着て、寒いから
Put on more clothes [dress better] because it is cold

Φαντάσου την έκπληξή του όταν μας είδε
彼が私たちを見たときの驚きを想像して
Imagine his surprise when he saw us

Κοιμήσου ακόμη λίγο. Είναι νωρίς
もう少し寝て、まだ早いから
Sleep a little longer. It is early

接続法による命令

受動態の動詞を用いて継続的な行動や繰り返しの行動を表したいときや、相手(二人称)以外の人物に対して命令や指示を表現する際には、να または ας といった小辞を伴う「接続法」を使います。

Ας μην ντύνεται κομψά
彼のエレガントでない着こなしを気にしないで(直訳:彼がエレガントに着こなさなくてもかまわない)
I don’t care if he is not elegantly dressed [Let him not be elegantly dressed]

Να ντύνεσαι πιο ζεστά τώρα τον χειμώνα
今冬はもっと暖かい服を着るべきです
You should wear warmer clothes [dress warmer] now in the winter

命令文の語順

命令法では、目的語の代名詞は動詞の後に続きます。これに対して、直説法や接続法では目的語が動詞の前に来ます。

Δώσε τού το αμέσως το βιβλίο του
彼にすぐにその本を渡しなさい
Give his book to him right away [Give him it immediately his book]

Του δίνεις το βιβλίο αμέσως.
君は彼にその本をすぐに渡す(直説法)
You give him the book immediately.

Να του δώσεις το βιβλίο αμέσως.
彼にその本をすぐに渡しなさい(接続法)
Give him the book immediately.

提案的な命令

直接的な命令の印象を和らげ、提案のようなニュアンスを出すため、命令文を前置詞γιαで始めることがあります。

Για έλα εδώ μια στιγμή
ちょっとここに来て
Just come here a minute

Για πες μου, βρε παιδί μου, γιατί κρινιάζεις;
ちょっと教えて、私の子、なぜ文句を言っているの?
Just tell me, my child, why are you grumbling?

丁寧な命令

単数の相手に対して二人称複数形の命令法を使うと、より柔らかく、丁寧な命令を表します。さらにπαρακαλώ(英語のpleaseに相当)を加えることで、より一層丁寧になります。παρακαλώは、文の最初と最後、どちらにも置くことができます。

(Σας) παρακαλώ, ελάτε μέσα, κύριε Μαρκόπουλε
Ελάτε μέσα, κύριε Μαρκόπουλε, παρακαλώ
どうぞ中に入ってください、マルコポロスさん
Please come in, Mr Markopoulos

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