ギリシャ語の「動名詞」についてまとめました。
動名詞の作り方
ギリシャ語の動名詞は、動詞の非完結語幹に接尾辞をつけて作ります。
第一種活用動詞:非完結語幹 + -οντας
- γράφω(書く)
- γράφοντας
- τρέχω(走る)
- τρέχοντας
第二種活用動詞:非完結語幹 + -ώντας
- μιλάω, μιλώ(話す)
- μιλώντας
動名詞の役割
動名詞は副詞的に使われ、動詞が示す行為と同時に行われる「別の行為」を表し、もとの行為の方法や手段、または行為が行われる時間などを示します。
Ο Γιάννης ήρθε τρέχοντας όταν άκουσε τα νέα.
ヤニスはニュースを聞いて走って来た(行為の方法)
John came running when he heard the news.
Τόσο πολύ στενοχωρέθηκε που έφυγε κλαίγοντας.
彼女はとても動揺して泣きながら去った(付随する行為)
She was so upset that she left crying.
Περπατώντας προς το γραφείο του ο Νίκος συνάντησε ένα παλιό του φίλο.
事務所に向かって歩いているとき、ニコスは旧友に会った(時間)
While walking towards his office Nikos met an old friend of his.
Μόνο μιλώντας λογικά θα καταφέρεις να τους πείσεις.
論理的に話すことでのみ、彼らを説得できる(結果につながる方法)
Only by speaking logically will you manage to persuade them.
είμαιの動名詞
英語のbe動詞にあたるείμαιの動名詞はόνταςです。「…でありながら」と訳すことができます。
Δούλευε στην επιχείρηση του πατέρα του όντας ακόμη φοιτητής.
彼はまだ大学生でありながら、父親の会社で働いていた
He was working in his father’s business while he was still a university student.
動名詞の主語
動名詞の行為主(主語)はふつう、文の動詞と同じです。
Ο Γιάννης ήρθε τρέχοντας όταν άκουσε τα νέα.
ヤニスはニュースを聞いて走って来た(走ったのも来たのもヤニス)
John came running when he heard the news.
しかし、まれに、動名詞が文中の動詞と異なる主語を持つことがあります。その場合、動名詞の主語も主格で表されます。
Δύοντας ο ήλιος άρχισε να πέφτει υγρασία.
日が沈むと、湿った空気が流れはじめた
As the sun set, dampness started falling
上の文では、「δύοντας(沈むと)」という動名詞が「άρχισε να πέφτει(流れはじめた)」を修飾しています。
「δύοντας(沈む)」の主語は「ο ήλιος(太陽)」ですが、「πέφτει(降りる)」の主語は太陽ではありません。この主語は明示されていませんが、「υγρασία(湿気)」がその役割を果たしています。
Φεύγοντας ο δάσκαλος διέλυσε η τάξη.
先生が去ると、クラスは解散した
Upon the teacher’s departure the class dispersed.
上の文でも「φεύγοντας(去ると)」の主語は「ο δάσκαλος(先生)」ですが、「διέλυσε(解散した)」の主語は「η τάξη(クラス)」です。
上のふたつ例文では、時間的な連続性を表しており、「~が起きると、その結果~が続いて起きる」という流れを強調しています。すなわち「太陽が沈むと湿気が降り始める」「先生が去るとクラスが解散する」というように、現在分詞が前の動作を示し、その後に別の動作が続くことがわかります。
このように、動名詞が文の動詞と異なる主語を持つ場合、ふたつの動作が時間的に関係していることを示します。