同格構文

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ふたつ以上の名詞句が並べられ、文中で同じ統語的な役割を果たす「同格」についてまとめました。

目次

基本構造

Εσείς οι άλλοι είδατε τη φίλη μου την Kαίτη;
あなたたち他の皆さんは、私の友人のケーティを見ましたか?
Have you others seen my friend Katy?

上の例には二組の「同格」が見られます。

文の主語は、εσείς(あなたたち)とοι άλλοι(他の皆さん)です。どちらも主格として、文の主語の役割を果たしています。

τη φίλη μου(私の友人)とτην Kαίτη(ケーティ)は、どちらも対格として、文の直接目的語となっています。

以下、さまざまな同格の表現について例を示します。

一方の名詞を修飾する同格

ギリシャ語には、ある名詞が続く名詞を修飾する、決まった組み合わせがあります。

これらは通常は動詞είμαιと共に使われますが、単独でも感嘆文としての機能を果たすことがあります。

θάλασσα λάδι
穏やかな海
smooth sea [sea oil]

παιδί μάλαμα
素晴らしい子供
marvellous lad [boy gold]
as good as gold
に相当する表現

σκοτάδι πίσσα
真っ暗
pitch-dark

γέννημα θρέμμα της Θεσσαλονίκης
テッサロニキで生まれ育った人
born and bred in Thessaloniki

κίνδυνος θάνατος
致命的な危険
mortal danger

最後の例(κίνδυνος θάνατος)は、主に電気設備の警告標識などで見られる表現ですが、文の主語や目的語として使われることも。

外来語由来の同格

最近では、他のヨーロッパ系言語から翻訳借用された同格がよく見られます。

これらの表現では、ふたつの単語をハイフンで繋げて書くのが一般的です。

θέση-κλειδί
重要な地位
key position

παιδί-θαύμα
神童
child prodigy

ταξίδι-αστραπή
弾丸旅行、稲妻のように速い旅行
lightning trip

πρόγραμμα-πιλότος
パイロットプログラム
pilot programme

κράτος-μέλος
加盟国
member state

ふたつの名詞句の意味的な関係はさまざまです。

上の例文のうち、最後の「加盟国」以外で、ふたつめの名詞句は比喩的な意味を持ちます。一方「加盟国」については両方の名詞句が同じものを文字通りに指しています。

この「加盟国」のような同格表現では、ふたつの名詞句は共に格変化をします(属格単数 κράτους-μέλους、主格/対格複数 κράτη-μέλη など)が、他の例では、ひとつの名詞が変化しても、ふたつ目の名詞(比喩的なもの)は変化しないのが主です。

どちらも厳格な決まりはなく、実際にはかなり揺れが見られます。

疑似部分構文

主に数詞や数量詞に導かれる「数量」を表す同格は「疑似部分構文, pseudopartitives」と呼ばれます。

(通常の同格と異なり)対象の名詞句と、数量を表す名詞句との間に「全体 - 部分、所属」的な関係があるように見えることから。

疑似部分構文は、ふたつの名詞句の意味的な関係に基づいて以下のように分類できます。形式的な表現では、これらの同格構文よりも属格が好まれることもあります(「名詞の格」のページ内、属格の項でも触れています)。

以下の例は、便宜上すべて主格形で示しています。

数量 + 物質や対象物

δυο κιλά πατάτες
2キロのじゃがいも
two kilos of potatoes

μια ώρα δρόμος
1時間の道のり
an hour’s journey [one hour road]

δέκα τόνοι τσιμέντο
10トンのセメント
ten tons of cement

最後の例のような「複数形の数量」と「単数形の対象物」による同格が文の主語になるとき、動詞は通常複数側に対応させます。

容器 + 中身

μερικά κουτιά σπίρτα
いくつかの箱のマッチ
several boxes of matches

ένα ποτήρι νερό
1杯の水
a glass of water

δυο σακούλες πατάτες
2袋のじゃがいも
two bags of potatoes

グループ + グループ化された対象物

πλήθος γυναίκες
群衆の(または大勢の)女性
a crowd [or large number] of women

ένα κοπάδι πρόβατα
羊の群れ
a flock of sheep

ένα ζευγάρι παπούτσια
一足の靴
a pair of shoes

μια ομάδα μαθητές
生徒のグループ
a group of students

ένα μάτσο γλαδιόλες
一束のグラジオラス
a bunch of gladioli

数量 + 列挙された対象物

近似的な数値(約…)や、大きな数の表現。

καμιά δεκαπενταριά άνθρωποι
約15人の人々
about fifteen people

εκατοντάδες πρόβατα
数百頭の羊
hundreds of sheep

τρεις χιλιάδες φώτα
3千個のライト
three thousand lights

δέκα εκατομμύρια Έλληνες
1千万人のギリシャ人
ten million Greeks

分割 + 分割された物質

ένα κομμάτι ψωμί
一切れのパン
a piece of bread

μια στάλα νερό
一滴の水
a drop of water

定冠詞による同格の維持

同格の関係にあるひとつめの名詞に定冠詞が付く場合には、ふたつめの名詞にも付ける必要があります。

τα δυο κιλά οι πατάτες
その2キロのじゃがいも
the two kilos of potatoes

το ποτήρι το νερό
そのグラスの水
the glass of water

το ζευγάρι τα παπούτσια
その一足の靴
the pair of shoes

το κομμάτι το ψωμί
その一切れのパン
the piece of bread

属格を用いた置き換え

名詞句の構造が複雑なとき、例えば最初の名詞句が複数形でふたつめが単数形、最初の名詞が定冠詞以外の語句で修飾されている、または数詞や数量詞がない…など、同格を用いるのが難しい場合には、属格を用いて同じ意味を表現することができます。

τόνοι τσιμέντου
1トンのセメント
tons of cement

χιλιάδες λαού
数千人の人々
thousands of people

ένα μεγάλο πλήθος γυναικών
大勢の女性
a large crowd of women

前置詞による置き換え

最初の名詞句に定冠詞が付く場合、前置詞 με による構文に置き換えることができます。

το κουτί με τα σπίρτα
そのマッチの箱
the box of matches

οι σακούλες με τις πατάτες
そのじゃがいも入りの袋
the two bags of potatoes

グループを表す同格構文では、以下のように前置詞 από を用いた表現に置き換えることができます。

μια ομάδα από εξαιρετικούς μαθητές
優秀な生徒たちのグループ
a group of excellent students

同格を用いるかどうかの判断

絶対的な決まりがあるわけではないですが、主に、次のような場合には属格を用いるのが一般的です。

数量や集合を表す最初の名詞句が複数形でない場合(属格)

τα δυο κιλά του καφέ
2キロのコーヒー
the two kilos of coffee

特定の集合を指す場合、属格を用いて構成要素を明示する必要がある場合(属格)

οι δυο χιλιάδες των επιβατών
2千人の乗客
the two thousand passengers

抽象的な数量を含む場合や、最初の名詞が定冠詞を伴う場合(属格)

τα δέκα εκατομμύρια των Ελλήνων
1,000万人のギリシャ人
the ten million Greeks

具体的な構成要素の部分集合を表現する場合(属格)

τα κομμάτια του ψωμιού
そのパンの切れ端
the pieces of bread

大きな数(数量詞)

一方で、大きな数を含む表現では、属格を用いずに、数量名詞が形容詞的に名詞句を修飾する構造が一般的です。この構造では、数量表現が後続の名詞を直接修飾し、文全体が簡潔な形を取ります。

τα εκατοντάδες πρόβατα
何百匹もの羊
the hundreds of sheep

τα τρεις χιλιάδες φώτα
3千の光
the three thousand lights

慣用的な同格構文

また、その他の慣用的な同格構文として、以下のような表現も挙げられます。

Tι είδος άνθρωπος είναι;
彼/彼女はどんな人ですか?
What sort of person is s/he?

上の例は「人という種類」(είδος άνθρωπος)と「具体的な対象」(彼/彼女)を同格の関係で結びつけた、疑似部分構文の一例です。ただし、より形式的な文体では属格が使用されます。

Tι είδους άνθρωπος είναι;

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